WORKS 建築実例集

とまり木の舎

阿蘇郡西原村 2023

現代を忙しく生きる人が、本来の姿に戻れる場所。
鳥たちが羽を休めるように、自分だけの静かで穏やかな時間と居場所を持つことが、日々の心の健やかさにつながるのではないでしょうか。
「とまり木の舎」は、この地に育つ1本の木と雄大な阿蘇の風景に寄り添いながら、心地よい暮らしを住まい手に想いを馳せて計画されたすまいです。


*期間限定でモデルハウスとして展示公開しておりましたが、現在は公開を終了しています。

DATA
所在地 阿蘇郡西原村
完成 2023年
延床面積 97.64㎡ 29.53坪
1階床面積 68.25㎡ 20.64坪
2階床面積 29.39㎡ 8.89坪
設計 林田 HOMEPARTY


1.コンセプト

/ CONCEPT /
 
風の音、樹々のゆらぎを感じられ、 ゆっくりと時が刻まれる
 
「とまり木の舎」は、ふだんの暮らしが非日常であるかのように、ゆったりとした時が流れるすまいです。

 

 
鳥たちが木で羽を休める姿になぞらえて、仕事や学校、外でそれぞれの役割をせいいっぱいに過ごした家族が、スイッチをオフにして癒やされる。ここに住まう人にとってのとまり木のような場所をイメージしました。
 

 
土手や小川、山並みといった自然との接点を持ちながら人間らしい暮らしの営みを紡いでく。その風景を、この地の移り変わりを知っている1本の木が、テラスの傍で枝を広げ、そっと見守ってくれているよう。
 
光の入り方や素材の使い方、細部のおさまりにまで思いを巡らせた、「休む」「くつろぐ」「暮らす」 のシーンに合わせた空間に身を置き、本質的な居心 地の良さを味わう。成熟した社会におけるこれからの暮らし方のご提案です。


2.風景の一部になる佇まい


 
とまり木の舎が位置する西原村は、南阿蘇への玄関口。
 
外観のデザインは長くこの地に息づく家になるようにと、主張しすぎない、自然の風景の一部であるかのような佇まいをと計画しました。
 
背景に連なるなだらかな阿蘇の外輪山の稜線をなぞらえるように、大小二つの切妻屋根を連ねた外観は、火山灰をを連想させるような薄いグレーの外壁材、土色の屋根を纏った素朴で落ち着きのある雰囲気で背景に溶け込みます。
 

 
色味を抑えた姿を樹々や花々が彩り、めぐる季節を教えてくれるよう。
 
玄関に入るアプローチのステップのごつごつとした溶岩石など、訪れる人をおおらかに受け入れるようなさりげない庭づくりも特徴です。
 

3.シーンに合わせた3つの居場所

 
2棟に分かれた建物の真ん中に位置する木製玄関を開けて内部へ。
目の前にある畑の風景を切り取る木枠のカウンターに自然と視線が流れ、1日を終えて我が家へ帰った安心感につつまれそうです。
 

 
ここからは左右に、暮らす場所、くつろぐ場所へと分かれます。暮らす場所の2階部分にはフリーに使えるスペースとウォークスルーのクローゼット、書斎を設けました。くつろぐ場所の上部には、奥にはさらに心を靜めるための休む場所へと続きます。
 

 
たいせつにしたことは、限られた面積の中で、うまく光や外部の景色を取り込みつつ毎日を心身ともに健やかに過ごせる家。
それぞれの居場所で気分を切り替えつつ、非日常の気持ちを味わえるよう細かい部分いも多くの工夫をこらしました。
 

○くつろぐ場所

 
玄関を入って左手にあたる東側の建物は、心も体も休息するためのエリアです。
心落ち着く土手を臨む大きな窓の外には、“とまり木の舎”の名の由来でもあるテラスを包み込むような大きな木が揺らいでいます。

 

 
冬には薪ストーブにゆらぐ火を眺めながら、ゆったりとした時を味わうことが楽しみになりそうです。
 

テラスからはダイニングへつながる桟橋がつづく

 

○休む場所

段下がり部分の周りはベンチに。周囲の視線を遮られた落ち着く空間。
 
薪ストーブとテラスのある「くつろぐ場所」の奥は、段を下げ、あえて光を抑え、静けさに浸る場所。
寝室として、ふかふかのカーペットにごろんと横になって寛ぎ映画鑑賞をする場所として、思い思いに過ごす場所。
 

 
上部にはロフトも計画。
カウンターで書き物をしたり、お茶やお酒を片手に窓の外の遠くの山を眺めるとっておきの場所です。
 
こちらを寝室にして登る朝日を目覚まし代わりに。時折デジタルデトックスをし、人間本来の姿を取り戻す時間をもつことで、普段意識していないことに気が付くきっかけになるかもしれません。
 
建物外部の風景、中からの景色、どちらもこの地だけの眺めが広がります。
 
キッチン煙突の向こうに遠景の山を眺めるベンチ。何も意味をなさない余白の場所こそ豊かな場所に。

 

○暮らす場所

キッチン、ダイニングのインテリアコーディネートはHOTOLIが手がけたもの。
 
玄関から右手、西側はキッチン、ダイニング、水回りとふだんの暮らしを送るエリア。
桜の床が広がる木の印象がやわらかな空間です。
 

 
将来的に住宅が隣接する可能性を考慮し、西側の窓は最小限に、南東にとったL字の掃き出し窓から明るい光が注ぎます。
そして、ダイニングの窓からはテラスへつながる桟橋をイメージしたウッドデッキをつくりました。
 

 
こちら側の2階には、お子様部屋を想定したフリースペース、書斎、大容量のウォークスルークローゼットと日々の暮らしに欠かせない場所が集まっています。
 

書斎とフリースペースを渡す通路、夜はお月見ベンチに。
 

 
この場所でどんな暮らしが紡がれていくのでしょう。


 
HOMEPARTYのすまいづくりにご興味を持っていただけましたら、ぜひ設計相談会、モデルハウスへお越しください。

 

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